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PC-MAPPINGでの測地成果2000対応と操作概要 [Q&A]
レイヤーの座標系設定で「日本測地系<>世界測地系」ボタンを押しただけの時と、変換処理をした場合ではベクターの位置に差が生じるのはどうしてでしょうか。
イメージの測地系変換については、表示位置座標(図郭情報)の左下、右上のみを変換すれば良いので、「日本測地系<>世界測地系」のボタンを押すだけで変換処理できますが、ベクターの場合には、全てのベクター要素の座標点に関して変換処理を行う必要があるので、メニューからの「測地成果2000対応変換」が必要となります。
そのため、「日本測地系<>世界測地系」ボタンを押しただけの時と、変換処理をした場合ではベクターの位置に差が生じます。

変換の精度に問題ないでしょうか?国土地理院から提供されるTKY2JGDと比べてどうなのでしょう?
テストした結果では、mの単位にして小数4桁目(0.1mm)、秒の単位にして小数5桁目(0.1ミリ秒)で、プラスマイナス1の相違が出る場合があるようです。
これは、両者ともにTKY2JGDが出力する最大精度での丸めの部分に相当し、計算ルーティンやライブラリの差異(TKY2JGDはVisualBasic Ver.5、PC-MAPPINGはVisualC++ Ver.6)に起因するものと思われます。
いずれにせよ、その値は微々たるもので実際の運用には差し支えありません。

変換パラメーターが必要との事ですが、どうすれば入手できますか?
国土地理院のホームページ からダウンロードできます。

変換しなければならない大量のデータがあります。どれくらいの時間がかかるのでしょうか?
使用するマシンやその環境に強く依存しますが、試験では数値地図2500を数10面つないだ道路レイヤーデータ(約20万アーク)の変換が30秒程度、即ち、毎秒15000点となります。
また、JMCマップKS5239(1次メッシュ分)では、4万点の変換が約20秒と、前者の5分の1程度です。
計算処理上、多くの時間が、実は該当する変換パラメーターの検索に要されています。
一度見つかったパラメーターはキャッシュされますが、広範囲の変換になるほどヒット率が低下して速度が低下するようです。
従って、大縮尺のデータの方が(範囲が狭い分)変換速度が上がります。
なお、上記の時間には、ファイルからの読み出し、保存にかかる時間は含まれていません。

変換の手法には、代表点方式、図郭のみ変換、全点変換などいくつかの方式があると聞きました。
PC-MAPPINGではどうなっているのでしょう?
既に解説していますが、ベクターデータに関しては全点変換、イメージや標高メッシュに関しては図郭の左下、右上のみ変換、印刷設定枠では中心点(代表点)変換と対象に応じてベストと考えられる手法を採用しています。
何らかの事情によって、ベクターデータも代表点方式、図郭のみ変換を行う必要がある場合は、(ここでは記述していませんが)通常の座標系の変更機能を使って実現する事も可能です。

日本測地系(旧)のレイヤーデータと世界測地系(新)のレイヤーデータを重ね合わせて見る事はできるのでしょうか?
直接にはできません。一旦どちらかのデータを変換する必要があります。
同じ理由で、日本測地系(旧)のレイヤーと世界測地系(新)のレイヤー間でデータの移動・コピー・併合・連結・参照等はできません(誤った位置になってしまいます)。

この変換をするAutomationはあるのでしょうか?
必要に応じて順次整備する予定です。例えば、
[M] long TKY2JGD(LPDISPATCH lpArray)
日本測地系(旧)からJGD2000系(新)への変換
lpArrayは、PcmAutoArrayPosのオブジェクトで、これの座標が変換され置き換えられる
[戻り値]
0 = 失敗、変換されなかった(指定のオブジェクトが無効、あるいはデータなし)
1 = 一部成功、パラメーターにない座標エリアがあり、その部分は、楕円体(BESSELからGRS-80)変換のみ行った(場所によるが、数10cmから数m異なる)
2 = 成功
[M] long JGD2TKY(LPDISPATCH lpArray)
JGD2000系(新)から日本測地系(旧)への変換
lpArrayは、PcmAutoArrayPosのオブジェクトで、これの座標が変換され置き換えられる
[戻り値]
0 = 失敗、変換されなかった(指定のオブジェクトが無効、あるいはデータなし)
1 = 一部成功、パラメーターにない座標エリアがあり、その部分は、楕円体(GRS-80からBESSEL)変換のみ行った(場所によるが、数10cmから数m異なる)
2 = 成功
といったメソッドが用意されます。

厳密に計算すれば、元は直線だったものも直線でなくなったり、建物の場合のように直角補正しているものが直角でなくなるかと思いますが?
確かに厳密にはそうなります、しかし、直線(線分)の場合、1つの図面内では端から端まであってもそのズレ(歪み)は数mmに満たないもので、通常の測量誤差の範囲に埋もれる程度です。
また、建物の直角補正の場合も同様でまったく問題ありません。
何らかの理由で角度が89.9998度では駄目で90度にしなければならないのであれば、再度直角補正を実行する必要があります。

「変換パラメーター」を使わず、回転楕円体の変更のみを行う座標計算を行った場合、どうして「ずれ」が生じるのですか?
ヒント集PC-MAPPINGでの測地成果2000対応と操作概要 で述べましたように、変換パラメーターには従来の基準点網が持っている歪みや、測量実施時点以降の地震等によって生じた地殻変動の影響を補正するための情報が付加されています。
特に沖縄の離島部など、旧来の測量精度における問題を解決するための移動量も含まれているようで、その差は大きくなっています。